7月11日に行われた参議院選挙、自由民主党は改選議席51議席に対し、49議席とマイナス2議席の厳しい審判を仰ぐことになりました。平成15年の自殺者が、統計を取り始めた1978年以降、最も多い3万4427人に及び、リストラの継続、賃金上昇が望めない厳しい日本の環境の中、やはり、年金制度の改革法案の強行採決、国民に対する説明もないままの小泉首相のサミットにおける自衛隊の他国籍軍への参加発言、そして、年金制度改革の審議における小泉首相の「人生いろいろ、会社もいろいろ」発言と、どこか自民党、小泉首相が奢っている、慢心しているといった印象を国民に抱かせたことが、今回の敗北を招いたと考えます。
この様に厳しい時代だからこそ、今、政治に求められていることは、一歩でも一歩でも、有権者に近づいて、政策についてしっかりと説明をして、理解を得る努力を惜しまない、誠実で謙虚な姿勢であると、今回の参議院選挙を通じて、強く実感しました。
今回の参議院選挙の結果、民主党が躍進し、二大政党制への移行が、昨年の衆議院選挙に続いて、進んだと謂われています。確かに、国会議員の数としては、自民党と民主党で8割を超える議員数を占めることになりましたが、本来の意味での二大政党制の基盤が整ったとは思えません。それは、自民党と民主党の政策に、アメリカの共和党と民主党の様に、例えば、中絶の是非や、銃規制の是非といった問題での違いが見受けられないからです。二大政党制が良いとしたら、やはり、政権選択を行う衆議院選挙においては、自民党と民主党の政策の違いを明確にして、政権選択を仰ぐ環境をしっかりと整えなければなりません。
現在の、公職選挙法では、選挙公約(マニュフェスト)の配布が、立候補者の街頭演説、個人演説会、選挙事務所でなければ配布出来ないといった制約があるため、政策の対比を行うことが有権者にとって難しくなっています。国民が本当に二大政党制を望むのであれば、公職選挙法を改定してマニュフェストを自由に配布出来る環境整備が必要です。
また、政党の明確な位置付け、政党の基盤整備といったことも重要です。ドイツの憲法には政党条項というものがあり、「政党は国民の政治的意思形成に協力する。政党の結成は自由である。政党の内部秩序は、民主制の諸原則に合致していなければならない。政党は、その資金の出所および使途について、ならびにその財産について、公的に報告しなければならない。」(ドイツ連邦共和国基本法 第21条(1)〔政党の憲法的地位〕)、「政党のうちで、その目的またはその支持者の行動からして、自由で民主的な基本秩序を侵害するもしくは除去し、またはドイツ連邦共和国の存続を危うくすることを目指すものは、違憲である。その違憲の問題については、連邦憲法裁判所がこれを決定する」(同法 第21条(2))、「詳細は、連邦法律でこれを規律する」(同法、第21条(3))と憲法の中で、政党の位置付けを明確にしています。日本においても、憲法改正時に政党条項を挿入することで、政党の位置付けを明確にし、政党不信を払拭し、信頼を高めることが必要であると考えます。
また、政党の基盤整備もしっかりと進めなければなりません。私の東京都第三選挙区は有権者が約43万人に居るのに対して、自民党員は1,900名弱であり、世帯数では800世帯弱です。確固たる二大政党制政治を目指すというなら、政党の基盤である党員を増やし、党員に政策をしっかりと理解頂く努力も必要であると考えます。
しかし、本当に二大政党制が日本にとって良いのか?二大政党制のもと、政権交代が起これば、政官財の癒着がなくなり、全て上手くいくのか?私は、実はそうは思いません。日本の真の問題は、明治維新以来の縦割りの官僚制支配にあると思います。政権交代が起こっても、一部の問題は露呈して是正されるかもしれないが、今のシステムを残したままでは、民主党が自民党に代わり、新たに官僚にコントロールされる政権政党となるだけです。我々が真剣に議論しなければならないことは、役所の事務次官から局長クラスまで、民間人からのアポイントメント制を導入することによって政治が行政に深く関与し、民意を反映した行政を行える様にするといったシステムの変更です。
官僚制からの脱却といったフレーズが、国会議員のHPを見ると良く見受けられますが、政党として、この問題にどう取組むか、明確な、具体的な説明を行い、この問題を総選挙の争点の一つにすることが私は必要であると考えます。
今回の参議院選挙を経て、今、求められる政治の在り方、二大政党制の意義、民意を反映する行政システムといったことを、深く考えさせられました。21世紀、日本の更なる発展のためにも、今後もこれらの問題について、自分の考えを発信し、国会議員になった暁には、民意を反映する行政システムの変更については実現を目指して行きたいと考えます。
平成16年8月 石原ひろたか