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活動報告

道路特定財源の議論について

資料:家計に占めるガソリン代/ 都道府県別の自家用乗用車の普及状況/暫定税率の撤廃に伴い値段の下がる物

第169回国会の主要テーマとして道路特定財源の暫定税率の維持、10年間の延長の問題が議論されています。
私は、この問題を考えるにあたり、私と同じ立場である都民の皆様にとって、暫定税率の維持が得か、暫定税率の撤廃が得かという視点で、まず、考えてみました。
その中で総務省の家計調査(平成18年)の数値が、この点を考える上で、重要な参考値となりご説明を申し上げます。

総務省の平成18年の家計調査によると、家計に占めるガソリン代は、47都道府県の県庁所在地ベース(資料1)で、東京23区は47番目、年間16,803円でした。1位は富山市で、年間88,754円で、東京23区の5倍以上です。
また、世帯あたり自動車保有台数(平成19年3月末)(資料2)も、47都道府県比較で、東京は47番目、0.521台、23区では0.5台であるのに対し、1位の福井県 1.766台、2位の富山県1.734台、3位の群馬県1.695台です。東京23区では、公共交通網が発達していることや、駐車場の値段が高いため、2世帯に1世帯しか、車を保有していないのです。そのことを考えると、都民が暫定税率の撤廃をそれ程に主張する意味があるのか、私は少し疑問に感じます。

財務金融委員会の「所得税法等の一部を改正する法案」の審議の中で、民主党の古本議員から、道路特定財源が、地下鉄13号線に約1,000億円近く使用されておりおかしいのではとの質問がありましたが、渋谷と池袋を結ぶ地下鉄13号線の開通(本年6月)は、混雑の緩和など都民の利便性を考えた場合、とても有益ですし、道路特定財源はその他、中央線の開かずの踏み切り対策にも使用されていますし、電線の地中化にも使われています。
私の選挙区の一部である大田区の京浜急行の立体化にも道路特定財源が使用されており、今後、建設予定の外環道、圏央道の建設にも利用される可能性が大で、都民にとっては、暫定税率を維持し、これらの対策を進める方が、家計の負担も低い中で、渋滞解消や、安全性の確保、そして景観の観点からも得策あると私は考えます。
次に、道路特定税源の暫定税率を撤廃するとあたかも、物価が下がるような議論をする評論家の方々が居ましたが、本当にそうでしょうか。

財務金融委員会での質疑でもこの点を質問させて頂きましたが、揮発油税の対象は、自動車のガソリンやトラック向けの軽油が対象であり、暫定税率が撤廃されても、石油ストーブの灯油や、ビニールハウスに使用されているA重油、漁船の重油・軽油等の値段は下がらないのです。
トラック向けの軽油の値段が下がったからといって、輸送費が引き下げられるかは、運送会社次第であり、物価全体が下がるかどうかは疑問です。(資料3)
更に、地方財政に与える影響の問題を考えると、民主党が主張する暫定税率の撤廃を行った場合、地方税が平成20年度予算ベースで9,064億円無くなります。民主党はそれを国税の本則税率部分の1兆6,427億円部分(平成20年度予算ベース)から補填するというのですが、そうなると、国の直轄事業に利用出来る金額は7千億円程度となり、国道の除雪や維持管理に4千億円程度必要なことから、国の直轄事業による道路整備はまったく出来なくなってしまうのです。(資料4)
また、予算委員会やテレビの討論等で、野党、特に民主党の方々の道路特定財源の暫定税率撤廃の理由を聞いて、その主張が、暫定税率が34年も続くのはおかしいだとか、道路をつくるだけになぜ目的税があるのかといったような発言がありますが、今まで暫定税率が維持されてきたのは、必要な道路建設の計画があったからであり、また、道路特定財源だけではなくて、電力会社に対する電源開発のための目的税もありますし、今、消費税を社会保障に対する目的税にしようという議論がある中で、道路だけの目的税がおかしいというのは、説得力に欠けるのではないかと思います。
ただ、原油高騰の中に、特に生活のために車の依存度が高い地方の方々のためにガソリン代を引き下げる目的に暫定税率を撤廃するという主張は、生活環境から対策を考えねばなりませんが、民主党が主張されるように、2.6兆円の規模の減税を行うとともに、同額程度の公共投資をやめるといったことが本当に経済政策としてあり得るのか、景気浮揚政策としてあり得るのか、私は大変疑問に感じています。
暫定税率を撤廃して、結果として地方の方々にとってガソリン代は下がったと思いきや、公共投資が減ってしまって、経済的な影響で収入が減ってしまい、そもそもの所得に影響するではないかどうか心配でなりません。つまり民主党の唱える「格差問題」に発展することになりかねないのです。

ブログにも書きましたが、みずほ総研の友人に言わせれば、公共投資はGDPに対し、1.3倍の効果があるものの、減税は0.5倍の効果しか貯蓄に廻ってしまってないのです。
3月22日発刊の週刊ダイヤモンドの「道路」の暴走という特集記事の中でも、第一生命経済研究所経済調査部主任エコノミストの永濱利廣氏が経済効果の分析を行い、暫定税率を廃止し、その分の公共投資を止めなかった場合(ケース1)、止めた場合(ケース2)、半減した場合(ケース3)の3通りのケースで経済効果を予測していますが、ケース2の場合は、平成22年からしかGDPへの影響はプラスに転じず、ケース3の場合も、平成21年からしかプラスに転じない予測をしています。

民主党は、暫定税率を撤廃しても、平成21年からは環境税といった新たな税をガソリンに課税することを想定しており、そのことは予測に反映されていないことから考えると、本当にプラスに転じるのか疑問です。
また、米国のサブプライムローン問題から世界経済が、今年から失速する危険性を孕んでいる中、平成20年度にGDPへのマイナス効果を及ぼす暫定税率の撤廃を行うことが優良な政策とは考えにくいのです。

一方でマスコミ、TVで指摘されていますが、予算委員会等の質疑を通じても、道路特定税源の無駄遣いが明らかになってきました。
(1)道路特定税源による野球のバット、卓球のラケット等のスポーツ用品購入(例:平成18年 11品目 134万円)
(2)マッサージチェアーの購入(平成元年〜平成14年 23台 約450万円)
(3)横須賀〜館山横断の大陸橋をはじめ、着工予定のない6つの大型陸橋の建設のための調査費68億円
(4)社団法人国際建設技術協会が作成したサイトの文章を切り貼りした報告書への調査費9187万円
(5)「道路事業への理解と協力を促すための取り組み」と称したミュージカル「道普請」「カントリーレンジャー」上演 平成15〜平成18年で95件、5億7千万円等
民主党をはじめとした野党の指摘はもっともです。
この様な無駄遣いは厳に慎まなければならないことです。
しかし、だからといって、暫定税率を撤廃しろというのは、先に述べた財源、経済効果などの面から勘案しても行き過ぎていると私は感じます。
3月13日(木)、自民党、民主党の青年局が道路特定税源の問題に関し、討論会を開催しましたが、その会上でも、民主党の小川淳也衆議院議員(香川1区、比例復活)が、無駄を止めさせる、起爆剤として、暫定税率を撤廃すべきと主張されましたが、それも行き過ぎた発言であると私は感じます。
無駄遣いは無駄遣いとして、毎年の決算行政監視委員会でしっかりチェックをして、無駄が是正されなければ、予算審議の中で予算を削減することによって、是正を強いていくべきであり、暫定税率を撤廃することによって、無駄遣いを無くすとうのは余りにも乱暴な話であると私は考えます。
衆議院の予算委員会や財務金融委員会の議論の中で、国土交通省が立てた中期10ヵ年計画が曖昧である。財務省が精査していないとう批判がありました。
確かに、10ヵ年計画の計画事業は、予算計上された事業に対し毎年行われるB/C分析(費用便益分析)はされていません。
只、事業主体が決まっていない新規道路の計画について、B/C分析をしろといっても無理なのです。
政府は、予算に計上した道路建設については毎年B/C分析を行って無駄な道路は作らないと主張しており、これはある程度理解すべきです。
只、その様な10ヵ年計画を基に暫定税率の期間を10年間とするという点については、見直しの余地は勿論あります。
福田総理は、与党に対し、道路特定財源に関する法案の修正を要請しました。
新聞紙上では、暫定税率の10年間の期間短縮や、暫定税率分の一般税源化等報道されています。
私は、期間の短縮も、一般財源化の拡大も賛成です。
政府は今迄、利用者の理解の得られない一般財源化に消極的でしたが、しかし、利用者が限定される酒やタバコに関わる税金も元々一般財源であり、私は国民の理解、自動車利用者の理解は得られるものと考えます。
また、平成18年の「骨太の方針」により、平成19年から毎年2200億円、社会保障費が財政再建のために削減されていますが、医療の現場が大変厳しい状況にあると昨今言われています。
平成20年度予算でも、道路特定税源を環境対策や新型信号機導入予算として1927億円が、一般財源化されています。
その他にも、地方自治体への無利子融資1000億円、高速料金引き下げ、スマートICの整備1500億円、道路関係施設1500億円等。合計で6000億円規模、直接道路建設とは関係ない趣旨に道路特定税源が利用されており、政策の優先順位の変更により、これらの部分を全て一般税源化することも可能です。
私は、財務金融委員会の質疑で、福田総理に、「今から10年間で道路を優先してつくるのか。高齢化社会が進む中で社会保障費が大幅に拡大する時代、その負担を消費税とか保険料に求めなければならないのではないかと考えるときに、一般の国民の方々が、道路は後回しでいいから、社会保障費の増の見合いの国民負担をなるべく減らしてほしいと思うのが私は心情ではないかと感じていますが、総理は、昨日の本会議の質疑に際し、抜本的な税制の見直しについては社会保障国民会議の議論を踏まえて検討されるというふうに答弁をされましたが、今回の道路特定財源の暫定税率が10年間継続されるこの法律が成立したとしても、抜本的税制の見直しを行うときには、この10年間の暫定税率の維持ということを見直すことがあり得るのかどうか、御意見をお聞かせいただきたい。」と質問をさせて頂きました。
その回答として、少し長い回答ですが、福田総理からは「社会保障問題は、これは年金問題もございますけれども、国民の安心という観点から極めて大事な課題である。
そこで、今の日本の社会というのは、これは急速に変わりつつありますね。
高齢化が進んでいる、そしてまた人口も減少しているというそういう構造変化が起こっているわけですね。ですから、将来安心できるかどうかということについて、今の若い人も大変な心配を持っていらっしゃるかと思います。
ですから、その安心を確保するためにも、社会保障制度全体について今ここで考え直さなければいけないのではないかというように思いまして、先般、社会保障国民会議というものを立ち上げまして、そこで大きな議論をしていただこうというように思っております。
国民会議でございますから、国民の各層の方々にお集まりいただく、そしてまた、そのメンバーだけでなくて、そのメンバーがいろいろなグループの方々に接していただくというような対話をしながら国民世論の形成に努めていきたい、また同時に、国民の方々に社会保障というのはどういうものかということを理解していただく、そういう場にしたいというように思っております。
そういう意味で、野党の皆様方にもお声をおかけして、そして参加していただく、自由に御討議いただくというような、そういうような場をつくってまいりたいとも思っておりますのですけれども、ぜひよろしくお願いをしたいと思っております。
そういうことで、社会保障、まず手をつけます。しかし、と同時に、日本の姿というものは、これは今転換期ですね。今、人口の高齢化というふうなことを申し上げましたけれども、しかし、それと同時に日本を取り巻く環境というのは大きく変わっております。
今まで、日本は世界第2の経済大国と言っていた。あと5年後にどうなっているかということも考えなければいけない。そしてまた、もっと大きな環境の問題というようなことがありまして、これは世界同じ問題でありますけれども、この問題に対処をどうしていくかというようなこともありますね。
そういうことを、全体を考えながらこれからいろいろな政策を進めていかなければいけない。そのどれ一つを抜いても、これは将来設計というのはできないのだろうというように思いますので、そのことを総体的に考えて、社会保障も考え、そして道路財源も考える、こういうことになろうかと思います。

自動車関係の諸税につきましては、昨年の12月7日の政府・与党合意におきまして、「税制の簡素化が必要」という指摘もあります。「今後の抜本的な税制改革にあわせ、道路の整備状況、環境に与える影響、厳しい財政状況等も踏まえつつ、暫定税率を含め、そのあり方を総合的に検討する。」こういうふうに決めたわけでございまして、こういうふうな考え方を踏まえて適切な対応をしていく。
その際には、先ほど来申し上げています、全体のあり方そのものを考えながら進めていくということが大事であろうかと思っております。」と暫定税率の近い将来の見直しの可能性について回答を頂きました。
今、我々、国会議員が行うべきことは、与野党で批判をし合っているのではなく、国民に迷惑を掛けない様に、そして税をどのようにすれば有効に国民生活に使えるかを主体に考え、妥協点を見つけることです。

最後に、ガソリンスタンドの協会の方々が言われていたのは、暫定税率について、撤廃するにせよ、維持するにせよ、値下がり前の買え控えや、値上がり前の殺到を回避するために、何よりも早く結論を出して欲しいとうものでした。
システムの対応等、ガソリンスタンド業界の方々のためにも、そして、自動車ユーザーの方々のためにも、妥協点を与野党が見出し、早く結論を出すことが、国民生活のためにも望まれることです。
時間は限られていますが、私達国会議員は様々な混乱を避けるためにも全力を尽くす必要があります。
この文章を書いている中でも、民主党の頑な姿勢は変わらず、暫定税率を撤廃しなければ、話し合いにも応じないとの報道がされています。私は、民主党の良識のある議員の方々に、我々、国会議員は、党の一員である前に、国民の代表であることを思い出し、政局本位でなく、今の日本を取巻く環境、危機をどのように対処するかの判断で大いに議論して、早急な解決をしなければなりません。
それが、私達国民の代表の責務のはずです。

平成20年3月21日 衆議院議員 石原ひろたか

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