第183回 国会 衆議院 予算委員会 第四分科会 第2号

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石原(宏)分科員 東京三区の衆議院議員、石原宏高です。本日は、予算委員会の第四分科会で質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 今回質問に立たせていただいたのは、いじめ撲滅を私自身の選挙公約にうたったことから、衆議院選挙の際、昨年、都内でいじめを苦に自殺した御子息のお父様が私の選挙スタッフに声をかけられまして、選挙期間中だったから会うことはできなかったんですけれども、その後、ことしに入って私の事務所を訪問されました。そのお父様は、自分の子供の死を無駄にしたくないという思いで、本当に心のうちを私に話してくださいました。私は、国会で継続的にいじめ問題について質問することで、少しでもいじめを解消するために、この機会を、予算委員会の与党の理事の御許可をいただいて、質問に立たせていただきました。

 実は、新人議員時代にも、教育基本法の議論の際、やはりいじめの問題が顕在化いたしまして、この分科会でいじめ問題に関して質問をさせていただきました。いじめ問題は、何度も顕在化するものの一向に解消されることがなく、本当にいたいけな子供たちが犠牲となっています。社会全体が一丸となって、いじめの撲滅を目指して行動しなければなりません。そんな思いで質問をさせていただきます。

 まず初めに、一つ、少しまとまっておりますが、いじめ対策として、警察OBやカウンセラーの設置等が行われています。私の選挙区の品川区では、区のカウンセラーが週一日、都のカウンセラーが週一日、合計二日間配置されています。カウンセラーの設置により、いじめがなくなるといった効果が出ているのか、ちょっとお聞かせをいただけますでしょうか。

 また、カウンセラーに直接お子さんたちが話をしに行こうとすると、やはり同じ学校の中にいますから、いじめている子たちがそういうのを見て、いじめが激化するんじゃないか、そんな危惧が考えられます。生徒が帰宅後、電話で相談する等の対応はあるのでしょうか。一部の教育委員会では、いじめ対策一一〇番のようなことを行っていますが、全体の教育委員会でどれだけこのような対応が行われているのか、お聞かせください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 児童生徒がいじめなどの悩みを速やかに相談できるよう、スクールカウンセラーなどによる教育相談体制を整備することは重要なテーマで、また、実際、各学校でも大いに相談にあずかっていただいているという状況でございます。

 そのため、文部科学省におきましては、これまでも、スクールカウンセラー等を配置する都道府県に対しまして補助を行っており、平成二十五年度予算案においては、スクールカウンセラーを公立中学校全校に配置できるように、また、公立小学校につきましては、約六五%の学校に配置可能な経費を計上させていただいており、より一層の配置の拡充に努めてまいりたいと考えております。

 また、先生御指摘のとおり、いじめ問題に悩む子供たちあるいは保護者の方々が、いつでも、全国どこからでも相談ができる体制の整備は、重要な課題でございます。

 文部科学省におきましては、平成十九年から、夜間、休日を含めた二十四時間いじめ相談ダイヤルを、全国一律のダイヤル番号により、整備を進めてきているところでございます。

 今後、児童生徒がいじめなどの悩みを速やかに相談できるよう、また、ほかの人からもわからないような工夫をしていただきながら、教育相談体制の整備充実につながるように、国としても努めてまいりたいと考えております。

石原(宏)分科員 済みません、ちょっと追加で。

 事前のレクを受けている中で、この二十四時間いじめ相談ダイヤルの相談が、実は、いじめの問題を取り扱っている件数が少なくて、親同士の問題とか、先生と親のコミュニケーションの問題とか、そんな話を聞いたんですけれども、実際に、いじめで悩んでいるというのは、相談の中で何割ぐらいあるんでしょうか。

布村政府参考人 このいじめ相談ダイヤルにつきましては、全ての児童生徒に、〇五七〇―〇―七八三一〇、悩み言おうという電話番号を、昨年度もお伝えいたしましたし、繰り返しお伝えしております。

 今、ちょっと正確に、いじめの相談の割合が幾らかというデータは持ち合わせておりませんので、改めて後ほど先生の方にお伝えさせていただきたいと思います。

石原(宏)分科員 いじめをなくすためにも、教職員の人間力の向上、そのための研修が必要ですが、どのような取り組みをされているのか、お聞かせいただきたいと思います。

 実は、自殺されたお子様のお父様は、お子さんの名前を黒板に書かれて、何々君死ねと書かれていたということを事前にお子さんに聞いていたんです。実は、保護者面談でその話を先生にしたところ、その先生がはぐらかしちゃって、非常に後悔されているのは、もっと突っ込んでその先生に問い合わせをすればよかったと。また、もしかすると、二十四時間いじめダイヤルみたいなことを知らなくて、ほかの方に相談をする機会がなかったんじゃないかと思うんです。

 実は、そのいじめを苦にして自殺されたお子さんの担任の先生というのは、専科の先生で、十年ぶりに、久しぶりに担任を持たれた。ちょうど今、団塊の世代の方々が一斉に教職員をやめられていて、教員不足という話がありますけれども、その中で、専科の先生で、十年ぶりに担任をされたということで、実は、新人研修みたいなものは東京都でも行われておりますけれども、ちょうど今、団塊の世代、多くの方が抜けている中で、そういういじめに対する教育について、ベテランの先生なんかもしっかりとその研修を受けているのかどうか、そのことをあわせてお聞かせ願えますでしょうか。

下村国務大臣 私も、三月に長崎県の五島列島に車座ふるさとトークで行ったとき、そういうところでもいじめはあると。しかし、ある学校で、そこでは、早期発見、早期対応というのを、学校ぐるみで、一人の教師に任せないでやることによって成功しているという事例を聞いたことがございます。

 御指摘のように、いじめ問題については、教員がその兆候をいち早く把握し、迅速に対応することがやはり必要だというふうに思います。そのため、まず学校で、児童生徒の間のいじめのサインを見逃さないようにすることが必要不可欠であり、学校現場の教員等は、未然に防ぐとの意識のもと、しっかりとアンテナを張って、児童生徒が発するサインに対する感性を高めていくことが必要であると思います。

 このため、これまでも、国の独立行政法人教員研修センターにおいて、いじめの問題等への対応の中核となる指導主事や教員を対象にした、いじめの予防と対応に係る研修を行っているほか、平成二十五年度予算案においては、全国六ブロックで行う、いじめ問題に関する指導者養成研修を予定しております。

 これらの研修では、例えば、授業での発言を冷ややかにされたり無視されたりするとか、清掃時間に一人だけ離れて掃除をしているとか、持ち物や掲示物等にいたずらや落書きをされている等の、児童生徒が発する具体的ないじめのサイン等の早期発見の取り組みや、また、いじめられた児童生徒への対応、また一方で、いじめた児童生徒への対応、さらに、いじめの態様等別の指導の留意点など、具体的な早期対応の取り組み等の生徒指導の実践に即した研修を行っているところでございます。

 さらに、教員のカウンセリング能力の向上を図るため、スクールカウンセラーによる校内研修を実施する経費も計上しており、これらの取り組みにより、引き続き教員の資質向上に努めてまいります。

石原(宏)分科員 本当に、お子さんの身近にいる先生がいち早くいじめの実態に気づいてそれを解消するということが重要だと思いますので、引き続き研修の充実をよろしくお願いいたします。

 三つ目の課題ですけれども、子供たちへのいじめに関する教育について教えていただきたいと思います。

 実は、自殺されたお子様をいじめていた少年は、十一歳の時点で、大人にばれないように、陰でやる、急所を外す、泣くまでやらない等、陰湿な暴力の振るい方を知っていたという話をそのお父様から聞きました。そして、そのことを、自殺の聴取みたいなのがあったときに、自慢げに教員に説明する状況だったそうです。

 かつて私が分科会で質問をした際、いじめの定義についてお聞きして、その当時は、「一、自分より弱い者に対して一方的に、二、身体的・心理的な攻撃を継続的に加え、三、相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお、起こった場所は学校の内外を問わない。」という定義を聞きました。分科会の事前のレクで、この定義は、平成十八年度に、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的・物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」に定義が修正されたという話を聞きました。

 ただ、私がこの話をお父様から聞いたときに、この少年が、過去のいじめの定義というものを何となく知っていて、先生にばれないようにとか、陰でやるとか、泣かないようにとか、こんな感じでいじめを繰り返していたんじゃないか、そんな恐ろしさを感じたところであります。

 やはり、子供に対するいじめの教育というのは非常に大切だと思うんですけれども、その内容についてお教えください。

布村政府参考人 お答えいたします。

 いじめの根本的な解決につなげるためには、まずは、子供たちに規範意識や社会性、思いやりの心などの豊かな人間性を育む道徳教育の充実が一つ重要な課題でございます。

 小中学校における道徳教育は、道徳の時間をかなめといたしまして、学校の教育活動全体を通じて行うということになってございます。例えば、小学校一年生では年間三十四時間、小学校第二学年から中学校三年生までは年間三十五時間を標準時数として学習指導要領上定めているところでございまして、その道徳の時間をかなめとして、各教科ですとか御家庭との連携を図りながら、子供たちの人間性を豊かにする、特にその中でも、思いやりの心などの育みを学校として取り組んでいただいているところでございます。

石原(宏)分科員 やはり、先生の教育、そしてお子さんの教育というのは非常に重要だと思います。

 これは私の私見でありますけれども、せっかく、心のノートという道徳のすばらしい教材を文部科学省においてつくっていただきました。今、下村大臣のもと、道徳教育の見直しを行われていて、心のノートがなるのかわかりませんが、教材化という話も報道で聞いておりますけれども、ぜひとも私は、心のノートのようなものを教材化して、しっかりと道徳教育に充てていただきたいと思うんですが、済みません、ちょっと質問があれしますが、文部大臣、それに対して。

下村国務大臣 御指摘のように、教育再生実行会議の第一次提言の中で、いじめ、体罰等をなくすための方策の一つとして、道徳の教科化というのが提言されました。これを受けて、文部科学省の方で、早速、道徳を充実させる懇談会を立ち上げまして、我々が政権奪還をした後、補正予算で、心のノートについては小中学生全ての子供たちに配付することにいたしましたが、印刷等の関係で、実際に配付されるのは七月からでございます。

 しかし、それだけでは十分であるというふうには言えないと思いますので、来年の四月からは、心のノート全面改訂版の中で、今委員御指摘のことも踏まえまして、しっかりとこの中に入れるようにしていきたいと思います。

石原(宏)分科員 ぜひ道徳教育の充実に努めていただきたいと思います。

 四つ目の質問になりますけれども、自殺されたお子様のお父様は、教育委員会や学校に隠蔽体質があるのではないかというふうに感じられております。これはやはり、お子さんが自殺したときによく親御さんが感じるところだと思うんですけれども、その理由に、教育委員会が行ったいじめの調査に対して、公表されている内容がかなり限定的である点があるのではないかというふうに思います。

 文部科学省では、いじめが起こって、教育委員会がそのことを調査してまとめた調査内容等についての公表内容について、どこまで開示するか等、指導されているのか、また指針等があるのか、もしあればその点をお聞かせいただきたいと思います。

 また、お父様が隠蔽体質と考える他の点として、このお子さんのケースでは、男子生徒が六名、そして女子生徒が七名関与されたということが、どこまで載っていたかはあれなんですが、そういう話を聞いているそうです。その子供たちが自殺を出したいじめに関与していたようなことが、中学生だったんですけれども、進学先の高校に昔のように内申書のようなことで報告されるのかどうか、報告されないとすれば、なぜされないのか。

 また、学校内では、いじめに関与した子供について、担任が変更になった場合、これはもちろん引き継がれると思うんですが、そういうことがしっかりと行われているのかどうか。

 また、これはしようがないことだと思うんですけれども、いじめに関与した子供の氏名は公表されないのが私も妥当だと思うんですが、法務省にも来ていただいているんですが、名前が公表されない法的な根拠、これをちょっとあわせてお聞かせいただけますでしょうか。

布村政府参考人 先に文部科学省の方からお答えさせていただきます。

 いじめを起因とする、あるいはいじめが疑われる自殺の案件が起きた際には、先生御指摘のとおり、保護者の方々の意向にできるだけ寄り添って学校、教育委員会が対応していただくということを基本としてございます。

 具体的には、平成二十二年度に、児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議を設置いたし、その調査研究の取りまとめの中でも、子どもの自殺が起きたときの調査の指針を取りまとめて、いじめ問題に関する調査委員会における調査方法や報告書の公表等の考え方を示していただいたところでございます。

 これを踏まえて、平成二十三年六月一日の通知におきまして、「調査結果の外部に対する説明や公表等に当たり、調査の実施主体は、当該児童生徒、遺族、在校生及びその保護者など関係者のプライバシーや心情にできる限り配慮するよう努める必要があること。」という形で通知を出させていただきました。

 これを受けて、各学校、教育委員会においては、これらの通知の内容を踏まえて、万が一、児童生徒の自殺等の事案が起きたときには、主体的に背景調査を行い、その個別具体の内容を子細に検討した上で、当該児童生徒、遺族、在校生及びその保護者など関係者のプライバシーや心情にできる限り配慮をしながら、いじめの態様やかかわった児童生徒の人数などの調査結果の公表をするよう努めているというふうに承知してございます。

 それから、もう一点お尋ねがございました、生徒の記録の引き継ぎでございますけれども、原則として、一人一人の児童生徒の状況に応じ的確に生徒指導を行っていくため、児童生徒の問題行動の状況について適切に記録、管理をし、進級時などには引き継いでいくことが必要であると考えてございます。多くの学校におきましては、児童生徒の個別の指導記録を作成することにより、継続的な児童生徒理解を図る取り組みが行われているという実態でございます。

 文科省におきましても、昨年十一月に公表いたしましたいじめ問題に関する緊急調査におきまして、学校に対しまして、指導上配慮を要する児童生徒の進級、進学または転学などに際して、学級担任などの教員間での引き継ぎは適切になされているかということを質問項目として調査を行い、「指導記録等の資料を用いて引継ぎを行っている。」と回答した学校は、約八割という実態でございました。

 この調査結果に基づき、文科省といたしましても、児童生徒の進学あるいは転学に際しましては、学校間、教員間の適切な引き継ぎを行うよう指導させていただいたところでございます。

岩尾政府参考人 いじめに関与いたしました子供の氏名の公表に関する一般的な法的根拠というわけではございませんが、犯罪に当たる行為をしたことなどによりまして、非行少年として少年法の対象となる少年につきましては、少年法六十一条に規定がございます。「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。」という規定がございます。

 この規定は、少年の犯罪に対する出版物への記載内容などを制限することによりまして、少年の特定に関する情報が広く社会に伝わり、少年の社会生活に影響を与えることを防ぎ、その更生に資することを趣旨とする規定であると承知しているところでございます。

石原(宏)分科員 自殺をされたお子様のお父様は、自殺に導いた子供たちが厳罰に処されても仕方がないのではないかというふうに思われておりました。

 現在、未成年の処罰の対象となる十四歳を引き下げるといった、そういう議論はあるのでしょうか。過去、処罰の対象年齢が引き下げられた経緯があれば教えていただきたいと思います。また、十四歳以下の子供が処罰にならないのはどのような考え方なのか、そのように考える根拠を教えていただきたいと思います。

 また、事前のレクで、十四歳未満でも、十二歳以上であれば少年院に移送されるケースがあると聞きました。どのようなケースが該当するのか、また、どのような手続で、誰が申し出をして、どこで決めて移送されるのか、お教えいただけますでしょうか。

岩尾政府参考人 まず最初に、現段階で、法務省におきまして、刑事責任年齢の引き下げを特に検討しているわけではございません。

 現行刑法が成立したのは明治四十年でございます。それ以降、刑事責任能力が認められる年齢が引き下げられたことはございませんが、少年法におきまして、刑事処分をすることができる年齢が引き下げられたことはございます。

 すなわち、刑法におきましては、犯行時十四歳以上の少年については刑事責任能力があるとされておりますが、平成十二年に成立した改正少年法、これは平成十三年四月一日に施行されたわけでございますが、その施行以前は、家庭裁判所は、十六歳未満の少年につきましては検察官送致の決定をすることができないとされておりまして、家庭裁判所が処分を行うときに、十六歳未満の少年につきましては刑事処分をすることができなかった状態でございました。しかしながら、先ほど申し上げました平成十二年の改正少年法によりまして、家庭裁判所が処分を行う際に、十六歳未満の少年でありましても検察官送致の決定を行うことができるようになり、犯行時十四歳以上の少年については全て刑事処分をすることができるようになったわけでございます。

 また、刑法四十一条において、先ほど申し上げていますとおり、刑事責任年齢が十四歳とされておりますのは、十四歳未満の者は、一般的に精神的成熟が不十分であるために、行為の是非善悪を弁識する能力、またその弁識に従って行動する能力が未熟であることや、年少者に対する福祉的措置の必要性や刑事政策上の効果などを考慮したものであると考えられております。

 この刑事責任年齢のあり方につきましては、刑事司法全般において成長過程にある若年者をいかに取り扱うべきかという基本的な考え方にかかわるものでございまして、その引き下げにつきましては、十四歳未満の少年の成熟度や、特に、場合によっては初等教育を終えていない者に対して刑罰を科し得ることとすることの必要性、相当性などの観点から、慎重に検討されるべき問題であると思われるところでございます。

 それから、少年院に送られるような手続についてのお尋ねについて、一般的な手続の概要を申し上げます。

 まず、被害者からの被害届や目撃者の通報、警察官の現認などをきっかけといたしまして、十四歳未満の少年で犯罪に当たる行為をしたと疑うに足りる相当の理由のある者を認めた場合、警察官において、必要に応じて、事件の調査をいたします。その結果、少年の行為が、殺人や傷害致死のような一定の重大な罪に当たるものであると認められるときや、家庭裁判所の審判に付することが適当であると考えられるときには、事件を児童相談所長に送致しなければならないとされております。児童相談所長等は、送致を受けた少年につきまして、家庭裁判所の審判に付することが適当であると認めた場合に家庭裁判所に送致いたしますが、先ほど申し上げましたような一定の重大な罪に当たる場合には、原則として家庭裁判所に送致しなければならないとされております。

 事件の送致を受けました家庭裁判所は、調査を経た上で、事案により、少年を、少年院送致、児童自立支援施設等送致、または保護観察といった保護処分に付することができます。このうち、少年院送致の保護処分につきましては、決定の際に十四歳に満たない場合には、特に必要と認めるときに限るとされております。

 このような手続によりまして、おおむね十二歳以上の者は少年院に送致される可能性があるところでございますが、どのような場合に少年院に送致されるかというのは、一概に申し上げることは困難でございます。家庭裁判所におきましては、少年が再非行に及ぶ可能性など、さまざまな事情を考慮して判断されているものと承知しております。

石原(宏)分科員 済みません、残り四分になりました。

 最後に、いじめ問題とは違うんですけれども、国費による外国人留学生、日本人留学生について質問いたします。

 文部科学省では、高校生の一年程度の留学に対して年間四十万円の補助を行っていますが、都道府県を通じて行っています。しかし、対象に政令指定都市が含まれないため、都道府県が取り扱いを行わないと政令都市の子供が対象から外れてしまいます。政令都市を対象にすることができないのか、お伺いいたします。

 また、これは問題意識でありますけれども、学生の双方向性の留学等の推進を文部科学省は行っていますが、平成二十五年度予算案では、日本人学生の海外留学促進費が三十六億円に対して、外国人の留学生の受け入れは二百九十四億円と、約十倍弱になっています。やはりこのことを見直す必要があるんじゃないか。

 また、日本人の場合は、長期留学で一人当たり二百万円、短期留学で一人当たり三十万円となっていますが、外国人の場合は、学費とか滞在費とか、かなりの補助があると思います。このアンバランスをどうお考えか、最後にお聞かせいただけますでしょうか。

布村政府参考人 先に、高校生の留学についてお答え申し上げます。

 文部科学省では高校生の留学促進事業を行っているところでございまして、平成二十四年度は三十三都道府県において実施がなされています。これは都道府県の実施になりますけれども、政令市にお住まいの高校生も、都道府県を通じて申請することは制度上は可能でございます。

 一方で、都道府県・政令市独自に高校生の留学経費を支援する事業も行っておられますので、本事業の対象を政令市まで含めるかどうかについては、地方自治体における取り組みの実態を踏まえ、今後検討させていただきたいと考えております。

板東政府参考人 大学の留学生の双方向交流につきまして、簡単にお答えを申し上げたいと思います。

 先ほど委員御指摘のように、予算額の違いというのがあるわけでございますが、主としてその理由としては、日本人学生を留学させる支援の経費につきましては短期のものが中心になっておりまして、短期が一万人に対しまして長期が二百人しかないということが大きな原因になっております。

 今、日本人学生の留学というのが非常に少なくなってきているということは、グローバル人材育成の観点から大きな問題意識を持っているところでございまして、今後その充実に努めてまいりたいというふうに思っておりますし、今、産業競争力会議や教育再生実行会議におきましてもこの問題は重要な課題として議論されておりますので、それも踏まえながら、充実に努めていきたいというふうに思っております。

石原(宏)分科員 ありがとうございました。

 時間が参りました。

 繰り返しになりますが、いじめ問題がなくなるまで常に国会で取り上げ、いじめゼロの社会をつくれるように社会全体で取り組む必要があることを主張させていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

萩生田主査 これにて石原宏高君の質疑は終了いたしました。