第196回 国会 衆議院 内閣委員会 平成30年4月6日

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株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

石原(宏)委員 おはようございます。自民党の石原宏高でございます。

 本日は、REVIC法の改正案について質疑をさせていただきたいと思います。

 まず第一問目に、平成二十六年度の改正時の附則第三条、また平成二十六年四月二十五日の衆議院の内閣委員会の附帯決議等々の中で、当機構のあり方、法律の施行状況について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということがうたわれております。

 今回の改正に当たって、どのような検討がどういう機関で行われたのか、そしてどのような結果になって改正が行われるのか、この点、御説明をお願いいたします。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 地域経済活性化支援機構は、地域における民間の自律的な中小企業支援や地域活性化の取組を促進するために、事業再生支援、それから地域活性化ファンドの設立、運営、地域金融機関等への専門家派遣などを行いまして、先導的な支援事例を積み上げることを通じて地域金融機関等へのノウハウの移転に努めてきたところでございます。

 こうした取組の結果、先導的な支援事例につきましては一定程度積み上がってきているかと存じます。例えば、事業再生支援等におきましては、民間金融機関へのノウハウの移転が進んできているものと考えております。

 一方で、現時点におきましては、地域企業の中には経営改善などが必要な企業が多数存在しているかと存じます。にもかかわらず、経営計画や戦略が描けず、企業自身の価値向上が実現できていないという企業も多いのではないかというふうに考えられます。

 また、そのため、地域金融機関が地域企業支援やそれに伴うファイナンスに主導的な役割を発揮するということが期待されているわけでございますけれども、地域金融機関の中には、その重要性は認識しているんだけれども、専門人材やノウハウが不十分な金融機関が少なからず存在しているかと存じます。

 こうしたことから、必ずしも、地域における民間による自律的な取組の定着には至っていない状況かと思います。

 こうした点も踏まえまして、内閣府を中心として関係省庁と一緒に議論を行いました結果、機構の支援・出資決定期限及び業務完了期限をそれぞれ三年延長いたしまして、地域金融機関の地域企業に対する支援機能の強化を図る。このために、地域金融機関や地域企業への専門家派遣や日本人材機構を通じた経営人材の紹介、地域金融機関との地域活性化ファンドの共同運営といった、人材、ノウハウ支援の業務を中心に据えて、重点的、集中的に取り組んでいく必要があるというふうに考えた次第でございます。

 以上でございます。

石原(宏)委員 二問目に、平成二十九年の十二月八日に閣議決定をされました新しい経済政策パッケージで、生産性革命の実現を二〇二〇年までの中期的な課題と位置づけ、推進のため、未来投資戦略二〇一七に含まれた施策を着実に実行するとともに、二〇二〇年までの三年間を生産性革命集中投資期間として、大胆な税制、予算、規制改革等の施策を総動員するということがうたわれ、その施策の一つとして、中小企業等を支援する機関の機能強化のために、REVICや日本人材機構による人材、ノウハウ支援や、金融機関とREVIC等の協働によるエクイティー資金の供給など、施策を強化することが盛り込まれました。

 もう少し具体的に、REVICや日本人材機構の、まさに生産性革命集中期間における役割というものについて御説明をいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 昨年の十二月八日に閣議決定をいたしました新しい経済政策パッケージにおきましては、今委員御指摘のように、二〇二〇年までの三年間を生産性革命集中投資期間として、税、予算、規制改革等々あらゆる政策手段を導入する、こういったことを決めております。

 特に、そこの中で、地域企業におきましては、専門スキルを持つ人材であったり経営ノウハウを持つ人材が不足しているほか、地域企業に対するエクイティーファイナンス、リスクマネーの供給について、委員も金融の分野にいらしたのでよく御案内だと思いますが、地域の金融機関などでは十分に対応できていないもの、このように認識をいたしております。

 政府としては、一人一人の人材の質を高める人づくり革命と、成長戦略の核となる生産性革命に取り組み、社会人の学び直しであったりとか中途採用の促進によって、幅広い年齢、そして多様な分野での人材の活躍を目指しておりますが、特に地方では、この機構の機能も活用して、事業再生や地域の活性化の専門家の充実と、それを通じた地域の再生を図っていきたい、こんなふうに考えております。

 こうした点も踏まえて、二〇二〇年までの三年間におきまして、一つは、機構において、地域活性化ファンド等を通じて金融機関と共同しつつ地域経済を牽引していく、この牽引事業者や歴史的資源を活用したまちづくりなどの重要施策を中心に、リスクマネーの供給であったりハンズオンの支援、ハンズオンといいますとなかなかイメージが湧かないかもしれませんけれども、テレビドラマの「陸王」に出てくる元銀行マンみたいな形のハンズオンの支援にも取り組んでいきたいと思っております。

 また、地方に行きますと、かつては、地域の課題、さまざまな課題に、それをみずからの問題として捉えて解決する旦那衆というのがいたんですね。旦那と、皆さんどういう印象をこの言葉で持たれるかわからないんですが、この旦那、もともと梵語、サンスクリットのダーナですから、お布施ということから来ております。

 つまり、地域の課題について、身銭を切ってでもそういった事業を進めていく、これが旦那衆でありますが、恐らく、本来、こういった機能、これからは地域の金融機関が果たしていかなければいけない。地域の金融機関等が地域において自律的に中小企業支援であったりとか地域活性化の取組を実現できるように、機構そして人材機構におきまして、地域金融機関に対する人材、ノウハウの支援を重点的に取り組んでまいりたい、こういったことを今後三年間で進めてまいりたいと考えております。

石原(宏)委員 ぜひ、REVICがあの「陸王」のこはぜ屋さんのような会社をたくさんつくっていただくことを期待したいと思います。

 次に、少しREVICの収支について御質問させていただきたいと思います。

 事業再生を行う際に支払い手数料を徴求していらっしゃると思うんですけれども、どのような基準でこの支払い手数料を請求されているのか、ちょっと教えていただけますでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構は、事業再生に係る支援決定を行いました場合には、支援手数料として、先生おっしゃるとおり、事業者から一定の手数料を徴収してございます。

 支援手数料の金額や率について詳細に申し上げるのは差し控えさせていただきたいわけでございますけれども、考え方といたしましては、債権買取りを伴うというものに関しましては、債権買取り価格の一定割合というのを手数料として徴収いたしております。また、債権買取りを伴わない、金融機関間の調整を行う、これのみの場合には、事業者の有利子負債総額に応じまして手数料のテーブル、タリフを設けておりまして、これに従って手数料を徴収しているところでございます。

石原(宏)委員 次に、公表されております平成二十八年度のREVICの収支について、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 営業費用が五十九億五千百万円のうち、人件費はどのぐらいの程度なのか。また、その人件費、役員報酬とか給与水準というのは一般のファンド等と比べて適正水準なのかどうか、教えていただけませんでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十八年度決算におけます営業費用の五十九億五千百万円のうち、人件費は三十五億五千百万円となってございます。

 機構の役職員の報酬体系でございますけれども、まず、役員報酬につきましては、他の独立行政法人あるいは特殊法人の例を参考にして、そういった水準で定めてございます。

 それから、弁護士、会計士などの専門家を中心とする職員の給与水準でございますけれども、これにつきましては、民間コンサルティング会社あるいは監査法人、弁護士事務所など、それぞれの分野の専門家の在籍する組織の給与体系を参考に決めさせていただいているところでございます。

石原(宏)委員 最初に手数料、その次に営業費用の話を聞いたんですけれども、実は、平成二十八年度のREVICの収支というのは、赤字が約五十三億二千五百万円という形になっています。今、人件費が約三十五億というふうに言われておりますので、ほとんど人件費に費用は使われていて、先ほど述べさせていただいた手数料収入というのはさほどないのかなというような感じもします。

 ただ、なかなか、ファンド的な役割で、投資をしても、投資回収というのは時間がかかりますので、ぜひともしっかりと手数料収入を上げていっていただきたいということと、今のところ、平成二十八年度を見ると五十三億円の赤字ということでありますから、今後、利益がしっかりと見込まれるのかどうか。また、まさに今回、改正を行って三年間の新たな投資期間を設けるわけでありますけれども、利益目標といったものがあるのかどうか。

 お話を聞いていると、投資をされているファンドについてはIRRが想定されているということなんですけれども、可能な範囲で、そういう、投資をされているファンドの中のIRRの数字がわかったら教えていただけないでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構の業務開始以降におけます過去四年間の収支状況でございますが、過去の投資案件の回収益が発生した年には利益が計上されておりまして、また他方で、先生御指摘のとおり、こうした一定程度の規模の支援のエグジットがなかった、例えば、中小企業の再生支援を行って、それも出資ではなく権利調整だけで済んでいくようなケースで終わっている年、あるいは、地域活性化ファンドについては、投資をしているけれども、その投資の回収をまだこれから将来という段階の投資が続いていることもありまして、赤字を計上している年もございます。黒字と赤字の年もありまして、現時点では、トータルでは、この四年間では若干のプラスになっているところでございます。

 もう一つは、機構がこれからやっていく、あるいは足元でやっている業務でございますけれども、対象となる企業や地域への直接的な効果に加えまして、一緒にやっています地域金融機関へのノウハウの移転ということで、むしろ、地域あるいは地域金融機関が地域における企業の支援をしていく、この能力を向上していくということにつながっていくということになりますと、こういった面での外部効果と申しますか政策効果があるかと思いまして、こうしたことから、多少赤字であったとしても社会全体としてはやる意味があるのではないか、こういうところでございます。

 なお、財務状況の健全性でございますけれども、過去投資案件の株式の売却益に伴う利益剰余金がございますので、国や民間の出資金を毀損させる状況にはないというふうに考えてございます。

 今後、機構におきましては、地域の活性化の支援に向けた取組に尽力するということでございますけれども、そうはいっても、利益剰余金をできるだけ減らさないようにめり張りをつけた業務運営をしていくということで、人員のスリム化を含めて経営の効率化を行っていく必要があるかと存じます。

 それから、IRRにつきまして御質問がございました。

 これは、民間と一緒に組成、運用してございます。したがいまして、それぞれのケースで民間の意向を反映した形で設定されますので、そういう意味ではばらつきがございます。ファンドによって差異がありますけれども、どちらかといいますと、民間だけでやっていらっしゃるものに比べると、大きなリターンを得るというよりは、地域の事業者の支援を主目的としてやっておりますので、そういう意味では若干低目に設定されているというふうに承知してございます。

石原(宏)委員 REVICの設立の趣旨もありますので、収益ということだけを私も言うつもりはないんですけれども、健全性を保つために、ある程度収益は確保していっていただきたいと思います。

 そして、私自身も、銀行員時代、MBOファンドの会社の管理なんかもしていたんですが、MBOファンドだと、大体、投資利回り、IRRが一五%ぐらいを目標にしています。そして、REITという不動産のファンドであれば五%強ぐらいではないかと思いますので、個人的には、REVICがREVICキャピタルやREVICパートナーズを通して投資をしているファンドのIRRというのは、私、個人的な意見ですけれども、三%から五%ぐらいあればいいのかな、金利も低いですし、そんなイメージを持っているところであります。

 IRRとか収支のことを聞いたんですが、KPIについてちょっと説明をいただけないかと思います。

 いろいろと資料を見ると、具体的な検討を行った案件に関する寄与度合いとか、ハンズオン支援等による収益改善、地域経済への貢献、金融機関との連携等、各種KPIがあるんですけれども、ちょっと、どうやって定量的にこれをカウントするのかというのがよくわからないところがあります。幾つかで結構なので、もう少しわかりやすく、このKPIについて御説明いただけませんでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 官民ファンドは政策目的に沿って運営されるべしということで、そのために活動を検証することが必要という観点から、官民ファンドの運営に係るガイドラインというのが設けられまして、これに基づきまして、運用目標あるいは政策目的の達成状況を検討するような指標、KPIを設定しているところでございます。

 具体例でございます。なかなか、地域の活性化とか、はかるのが難しいこともありますので、悩みながらつくってきているところがございます。

 地域への知見・ノウハウの移転という項目でございますと、例えば、地域金融機関への特定専門家派遣あるいは地域金融機関からの人材の受入れなどを平成三十五年三月末までに累計で二百五十件以上行う、こういうKPIを具体的に設定させていただきまして、二十九年九月末時点では、件数で単純でございますけれども、九六%の達成率となってございます。

 また、中小企業などへの重点支援の明確化といたしまして、中規模企業の事業者の割合を九割以上とする、こういうKPIを設定していますが、二十九年九月末時点での達成率は八八%という状況でございます。

 こういった、定量的にクリアなものもあれば、定性的なものをいろいろ数字を活用しながら設定しているものもあります。

 こうしたことから、定期的にこのKPIについては見直しをしているところでございまして、引き続きこういった見直しもしてまいりたいと思ってございます。

石原(宏)委員 私は、KPIをなるべく定量化をして、その達成度合いとかによって、今回はまた三年間投資期間を延ばすんですけれども、今後のあり方に対する一つの考え方のベースに、KPIの達成状況みたいなものもあるのではないかというふうに思います。

 だんだん時間が迫ってきておりますので。

 今ちょっとお話をしたように、今回は、三年その投資期間を延長して、REVICをやめる期間を更に五年、八年後にということにするわけですけれども、今後、私は、KPIとかいろいろなものを判断して、REVICを終了するそういう判断材料、これから更に期間を延ばすと言っておきながら、終了することについて聞くのはまだちょっと早いかもしれませんが、ただ、ずっと何回も何回も継続している中で、どういう判断基準でこのREVICを店じまいしていくのかみたいなことを、今の段階でわかることを教えていただけないでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 この機構の延長の趣旨でございますけれども、機構が解散した後においても、全国各地で地域金融機関などが自律的に中小企業支援とか地域経済活性化の取組が実現できる姿、こういったものを目指すということで延長をお願いしているところでございます。

 こうしますと、じゃ、自律的にこういったことが実現できているかということになりまして、幾つかの単純な指標で定量的にその目的をお示しするというのはなかなか難しいのではないかと思うわけでございますが、例えばでございますと、地域金融機関の目きき力の向上度合い、これはさまざまな見方があるかと思います。定量的なものもあれば、その企業の見方、地域への評価などもあるかと思います。あるいは、民間によるファンドの活動状況がどうなっているか。あるいは、地域における専門人材がどうなっているか。今ですと、地方だとなかなかいないという話をお伺いしますけれども、そんなところはどうなっているか。こういったものを総合的に勘案して検討していくということになろうかと思います。

石原(宏)委員 質問時間もだんだんだんだん迫ってきたんですけれども、REVICをまだこれから期間を延ばして支援を続けていくという中で店じまいの話をしてもしようがないんですが、REVICには子会社が三社あると思います。その子会社も、やがてREVICを店じまいするときには何とかしていかなければいけないと思うんです。

 そのREVICの三つの子会社について、日本人材機構、REVICキャピタル、REVICパートナーズがあります。各社の機能と人員、人員の中も、管人総、役員の割合と実際の営業、コンサルティングとか投資をされている方なんですけれども、大体何%、何%ぐらいな形になっているのか。資本金の金額、またREVIC自身の出資割合等、この三社について教えていただけないでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 このREVICには、子会社といたしまして、人材紹介会社一社それからファンド運営会社二社の、合計三社の子会社を有してございます。

 まず、人材紹介会社であります日本人材機構は、資本金は二十五億円、REVICの一〇〇%出資子会社でございます。目的は、地域企業に対する生産性向上に資する経営人材を紹介する、こういう事業でございまして、人員は総勢六十四名、役員が五名でございまして、ソーシングあるいは金融機関対応部門に三十九名、首都圏人材向け広報、PR部門に六名、管理部門に十四名というふうになってございます。

 次に、ファンド運営会社が二社ございまして、これはREVICキャピタルというものとREVICパートナーズというものでございます。

 最初のREVICキャピタルは、資本金は一億円で、出資割合はREVICが一〇〇%でございます。地域金融機関などと共同して、これまで三十三本の地域活性化ファンドの運営を行っております。人員は総勢で百四名でございまして、役員が五人、ソーシング部門八十六名、管理部門十三名となってございます。

 二つ目のREVICパートナーズは、これは民間と共同でございまして、REVICは八〇%の出資割合でございます。資本金は五千万円ということで、地域中核企業活性化ファンドの運営を行ってございます。人員は二十九名、うち役員が六名、投資先のソーシング部門が十七名、管理部門六名でございます。

 以上でございます。

石原(宏)委員 大分時間が迫ってきたんですけれども、REVIC若しくはREVICが投資をしているキャピタル、パートナーズを通して投資をされている各ファンドについて、例えば未公開の株式の会社というのが多いと思うんですけれども、その減損ルールについてちょっと御説明をいただけないでしょうか。

三井政府参考人 お答え申し上げます。

 機構が保有する、支援対象事業者が発行した未公開株、有価証券、あるいは事業者に対する貸出債権につきましては、この減損のルールでございますが、会社法やその他の関連法令、一般に公正、妥当と認められる企業会計の慣行に沿いまして、REVICとしても基準を設けて減損処理を行っているところでございます。

 具体的に申し上げますと、時価のある有価証券につきましては、時価が取得原価に比べて五〇%程度以上下落した場合には減損損失を認識する。時価のない株式につきましては、期末における一株当たりの純資産額が取得原価に比べて五〇%程度以上下落した場合に減損。時価のない債権でございますと、個別の債権ごとに償還不能見積高を算定いたしまして、その額を損失として計上します。

 また、保有有価証券の評価でございますけれども、投資の短期的な状況に対して懸念がある場合には取得原価の七五%、長期的な状況に懸念がある場合には取得価額の五〇%、業績回復のためにてこ入れをしなければ投資原価が回収できないと懸念される場合には取得価額の二五%、投資原価が回収される見込みがなくなった場合には備忘価額という形で減損処理をさせていただいております。

石原(宏)委員 時間が来ましたので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。