第210回 国会 衆議院 内閣委員会 第6号

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国際的な不正資金等の移動等に対処するための国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)

大西委員長 次に、石原宏高君。

石原(宏)委員 自民党の石原宏高です。

 早速質疑に入りたいと思います。

 まず初めに、谷大臣にお伺いいたします。

 金融活動作業部会、FATFといっても、なかなか、ほとんどの国民は御存じないだろうと思います。内容が高度に専門的なだけに、一般の国民の理解を得ることが難しいのは当然ではないかというふうに感じております。しかし、麻薬やテロといった国際犯罪に対処するために資金面からの対策を進めると言えば、多くの方が納得されると思います。分かりやすい説明を心がけて国民の協力を得ていくことが、国際犯罪の抑止には不可欠ではないかというふうに思います。

 本法案の目的は、大きく言って、まず第一に資産凍結措置の強化、二番目に暗号資産等への対応強化、三番目にマネロン対策等の強化のための法改正といったことだと思うんですが、改めまして、本法案の意義と内容について、谷大臣にお伺いいたします。

谷国務大臣 お答えいたします。

 石原委員おっしゃられるとおり、この法案の内容が高度に専門的なだけに、国民に分かりやすい、理解醸成に努めることが大切だと思っております。

 御審議いただいているFATF勧告対応法案は、昨年八月三十日に公表されたFATF第四次対日審査報告書を踏まえ、一つは安保理決議に基づく資産凍結措置、二つは暗号資産への対応、三つはマネロン対策等のそれぞれについて、強化を図ろうとするものです。

 具体的には、資産凍結措置の強化として、安保理決議で指定された大量破壊兵器拡散に関わる者が行う国内取引に係る資産凍結を措置し、暗号資産対応の強化として、取引の追跡可能性を高める観点から、暗号資産交換業者に対し暗号資産の移転に係る顧客情報の通知義務を課すこととし、また、マネロン対策等の強化として、マネロン罪の法定刑を引き上げ、犯罪収益として没収可能な財産の範囲を拡大することとしております。

 これらの様々な措置を通じて、日本との金融取引に対する信頼性を確保し、国際金融センターとしての地位を向上させるとともに、マネロン等対策で日本が抜け穴になることによって不正な資金の流れに関与することを防ぐことになると考えております。極めて重要な法案であると認識しているところであります。

石原(宏)委員 次に、FATFの役割と業務範囲というか、ちょっとお伺いしたいと思います。

 FATFの役割は、薬物犯罪に関するマネーロンダリング対策から始まり、二〇〇一年の九・一一以降、テロ資金供与対策、さらに、二〇一二年には、北朝鮮、イラン等における大量破壊兵器の拡散金融対策へと拡大しております。

 では、例えば環境犯罪等はFATFの管理の業務範囲に含まれるのか、また、その他のどのような業務があるのか、お教えください。

内野政府参考人 FATF勧告が対象といたします不正な資金移動につきまして、お答え申し上げます。

 FATFが一九八九年のアルシュ・サミット経済宣言を受けて設置されて以降、経済、金融のグローバル化や犯罪等の動向などにより、段階的にその対象犯罪を拡大してきております。

 具体的には、御指摘のとおり、当初は薬物犯罪に関するマネロンが主眼でございましたが、一九九六年からは、その他の様々な重大犯罪、すなわち殺人や窃盗などから得られた収益等も対象に、また、御指摘にありましたように、テロ資金供与や大量破壊兵器拡散の資金供与も順次含まれてきております。

 御指摘の環境犯罪によるマネロンにつきましても、二〇〇三年からFATFの業務範囲に含まれておりまして、保護種の野生動植物の違法な収穫、取引、天然資源の違法な採掘、取引、廃棄物の違法取引などがその対象となったものでございます。

 また、その他どのようなものが含まれるかという御指摘でございますが、先ほど申し上げました殺人等のほかにも、例えば人身売買とか移民の密輸、あるいは性的搾取であるとか、それから海賊行為、こういったようなものも含まれておるところでございます。

石原(宏)委員 犯罪収益を没収できることに、範囲が広がるわけですけれども、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。

 先週、ある報道がありました。川上穂野香さんという若い女性が暗号資産投資トラブルで自殺をされたという痛ましい事件を受けて、彼女のお母さんが投資グループのメンバーに対して千二百万円の損害賠償を求めたという報道がありました。穂野香さんの投資額は百五十万円だったということでありますけれども、民事事件で判決が下った場合、暗号資産の強制執行は可能か、まず法務省の民事局にお伺いしたいと思います。

 そして、あわせて、刑事事件の場合、昨日の本会議でも、四年以上の法定刑に対して犯罪収益の没収が可能ということでありましたけれども、具体的に、例えば詐欺罪、窃盗罪などが考え得ると思いますけれども、他の犯罪の名称みたいなものをちょっと教えていただければと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 金銭債権の債務名義を有する債権者は、債務者の財産について強制執行の申立てをすることができ、債務者の暗号資産についても強制執行の申立てをすることができます。

 具体的な強制執行の方法は暗号資産の内容によっても変わり得ますが、例えば、債務者が暗号資産交換業者に対し暗号資産移転請求権を有しており、指定する口座等へ暗号資産を移転するよう求めることができるケースでは、債権者は、当該暗号資産移転請求権を差押えの対象として強制執行の申立てが可能でございます。

 以上です。

保坂政府参考人 刑事における没収の対象となります犯罪収益の前提犯罪といいますのは、平成十一年の制定当時は個別に犯罪を列挙する形でございましたが、平成二十九年の改正によりまして、先ほど御質問のあった死刑、無期若しくは長期四年以上の懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪という、その全てが前提犯罪ということになったわけでございます。

 この後者の長期四年以上の懲役、禁錮の刑が定められている罪の例といたしまして、御指摘の詐欺罪や窃盗罪のほかに、投資という関連でいいますと、高金利で金銭の貸付けを行ったという出資法違反ですとか、あるいは無登録で金融商品取引を営んだという金融商品取引法違反などがございます。

 これらの前提犯罪により得た財産などの犯罪収益は没収の対象になりますし、その犯罪収益を隠匿するなどした場合にはマネーロンダリング罪の処罰対象となるわけでございます。

石原(宏)委員 今回の法改正で没収資産として暗号資産も認められることになるわけでありますけれども、今まで、実は、東京高裁において、被告らが交換所に預けていた暗号資産について、現行法では没収できないという判決があったというふうに聞いております。

 この裁判所の判断、なぜ没収できなかったということか、教えていただけますでしょうか。

保坂政府参考人 御指摘の事案といいますのは、犯罪収益等を収受したという事件で、被告人が暗号資産交換業者に対して有する暗号資産に係る債権が没収可能な金銭債権かどうかが問題になった事案でございます。

 第一審におきましては没収を認めましたが、高裁におきましては、次のように判示して、これを否定したわけでございます。すなわち、暗号資産は、法定通貨とは異なり、日本国内での強制通用力がなく、その移転を目的とする債権は、この組織的犯罪処罰法十三条一項による没収可能な金銭債権には当たらないということでございます。

石原(宏)委員 今後、暗号資産も没収の対象に、法律の変更によってできるようになるわけでありますけれども、じゃ、その暗号資産に係る債権を没収するとの判決が下った場合、その債権をどのように処分をするのか。すぐに現金化するのか、若しくは暗号資産のままで持っているのか等々、没収した暗号資産の処分の方法について教えてください。

保坂政府参考人 暗号資産に係る債権の没収の裁判が確定した後の処分の具体的な手続といいますのは、実務的な観点から更に検討し、協議する必要があると考えておりますが、差し当たり、次のように考えております。

 例えば、被告人が暗号資産の運用管理のために暗号資産交換業者を利用している場合には、被告人がその業者に対して有する債権を没収することが想定されます。この場合、没収の裁判が確定することによりまして、その債権は国に帰属するということになりますので、検察官は組織的犯罪処罰法に基づいてこれを処分しなければならないとなります。

 その処分方法といたしましては、例えば、国が債権者として当該交換業者に対して当該暗号資産の売却を求めるなどした上で、その換価代金を受領するといった方法によりまして処分することが想定されるところでございます。

石原(宏)委員 今回の改正により、暗号資産交換会社に対して、暗号資産の移転時に送付人、受取人の情報を相手方業者に通知する義務、いわゆるトラベルルールを課すことになります。

 だとすると、今後、日本にある暗号資産交換会社は、トラベルルールを承認していない暗号資産交換業者との取引ができなくなるのかどうか、それをちょっとお伺いしたいのと、また、その通知義務の中身ですけれども、本人の特定事項ではないかと思いますが、自然人の場合は氏名、住所、生年月日、また、法人の場合は名称、本店又は主たる事務所の所在地を確認することでよいかどうか。

 また、私も昔、もう三十年前ぐらいに外為の送金をやっていたんですけれども、大体、企業だと法人の名前と住所ということで載せるんですが、個人だと名前、例えば、日本に訪問している、旅行に来ているような人が送金をする場合は名前だけで、生年月日等はパスポートで控えているだけで、送金を送るときの情報としては送らないんですけれども。

 何を聞きたいかというと、生年月日とかというのは、送付人若しくは受取人の方の暗号資産会社から問合せがあったときだけこれを報告するということかどうか、その点、お聞かせをいただければと思います。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、トラベルルールでございますけれども、現時点では、世界各国、地域で整備されている状況にはございません。こうした中で、仮にトラベルルールを定めていない国、地域に存在する暗号資産交換業者との取引を禁止するということになりますと、暗号資産交換業者の業務の執行が困難になり、事業者に多大な負担を課すということになります。このため、トラベルルールを定めていない国、地域に存在する暗号資産交換業者との取引の禁止を求めることまでは予定しておりません。

 この場合、トラベルルールに基づく通知を受けずに暗号資産の移転を受けるときには、移転元の暗号資産交換業者から必要な本人特定事項が送られてこないということとなります。そのような状況は望ましくないということから、疑わしい取引の該当性について適切な判断を行わせるため、我が国の暗号資産交換業者に対し、暗号資産の移転元が誰なのかということについて、自らの顧客から情報を収集する等の方法で確認することを求めるということを検討しております。

 なお、各国、地域はFATF勧告にのっとりましてトラベルルールの整備を進めているものと承知しておりまして、トラベルルールに基づく暗号資産交換業者間の取引は着実に増加していくというふうに考えております。

 それから、FATF勧告におきましては、トラベルルールに基づく通知事項といたしまして、送付人情報については、自然人の場合は氏名、住所、口座番号等、法人の場合は名称、本店又は主たる事務所の所在地、口座番号等、それから受取人情報につきましては、自然人の場合は氏名、口座番号、法人の場合は名称、口座番号を定めております。

 暗号資産の移転に係るトラベルルールについても、犯罪収益移転防止法施行規則において、これに倣った形で定めるということを検討しております。

石原(宏)委員 全国にトラベルルールが広がっていくためには時間が必要なので、受取人の方に暗号資産交換業者が送金人が誰かというふうに確認するというのは、受け取る方は誰が送ったか知らないということはないでしょうから、それで確認ができると思いますので、しっかりと徹底をお願いできればというふうに思います。

 次に、特定犯罪行為の具体例についてお伺いをしたいと思います。

 国際的に保護される者を殺害する行為、すなわち特定犯罪行為等のための資金等の提供を処罰対象に加えるとともに、法定刑を引き上げるというふうに法案の内容はなっておりますけれども、特定犯罪行為は法定化されるのか、また、資料にも載っておりますが、その具体的な例は何か、お伺いいたします。

保坂政府参考人 お尋ねの特定犯罪行為につきましては、テロ資金提供処罰法におきまして具体的に規定することといたしております。これを追加して規定いたしますのは、FATFの勧告に対応するために、現行法の公衆等脅迫目的で行われる犯罪行為のための資金提供等と同等の当罰性がある犯罪行為、これをテロ資金供与防止条約の文言に即した形で具体的に列挙して規定するということでございます。

 具体的な例といたしましては、政府の長、外務大臣又は外交官などの国際的に保護される者を殺害する行為、あるいは航行中の民間航空機内の人に対する殺傷行為であって、その民間航空機の安全を損なうおそれがあるもの、あるいは公共施設等において爆発物を爆発させる方法等の方法によって人を殺傷する行為などがございます。

 改正後は、こういった行為の実行を企図する者に対してそのための資金を提供する行為等が処罰の対象となるということでございます。

石原(宏)委員 ちょっとお恥ずかしいんですけれども、私も、昔、銀行マンで、十六年ぐらい金融の世界にいたんですけれども、もうこの政治の世界に入って二十年近くがたつものですから、時代の変化に取り残されているところもありまして。簡単な質問でありますけれども、我が国においてステーブルコインというのはどのように法定化されているか、また暗号資産との違いは何か、ちょっと素人的な質問ですが、質問させていただきます。

尾崎政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆるステーブルコインにつきましては、明確な定義は存在しないものの、一般的には、特定の資産と関連して価値の安定を目的とするデジタル資産で分散台帳技術を用いるものをいうというふうにされております。

 このように、いわゆるステーブルコインは幅広いものを含み得るわけですけれども、本年六月に成立した改正資金決済法においては、いわゆるステーブルコインのうち、法定通貨の価値と連動した価格、例えば一コイン一円で発行されて、発行価格と同額で償還を約するもの等を電子決済手段等として規制対象としております。

 一方、暗号資産は、電子決済手段と同様、分散台帳技術を用いたデジタル資産でございますけれども、発行価格と同額での償還が約されていない等の点で電子決済手段とは異なっております。

石原(宏)委員 先ほども神田委員の御質問にもあったんですが、ちょっと違った角度から。特定非金融業者及び職業専門家がマネロン、テロの資金対策に関わった具体的な事例について御説明をいただけますでしょうか。また、疑わしい取引の報告義務の対象から弁護士と司法書士が外れた理由についてお聞かせ願えますでしょうか。

猪原政府参考人 お答えいたします。

 まず一点目、士業者がマネロンに関わった事例はあるかというお尋ねでございます。

 近年、マネロン事案において士業者の地位が悪用されている実態があり、例えば詐欺や賭博によって得られた収益を正当な事業収益であるかのように装うため、事情を知らない税理士、税理士法人を利用して経理処理をさせた事案等が発生しております。

 二点目のお尋ね、疑わしい取引の届出義務を課す対象から弁護士等と司法書士等を外した理由についてでございます。

 弁護士等や司法書士等については、疑わしい取引の届出義務を課すことは依頼者との信頼関係の構築を困難にする弊害が大きいため、疑わしい取引の届出義務の規定を法律で設けることは相当ではないと考えております。この点は、対立する当事者間の民事紛争解決業務を直接の対象として取り扱わない行政書士等、公認会計士等又は税理士等とは異なっていると考えております。

石原(宏)委員 ちょっと済みません、資料を見ていて、通告はしていないんですけれども、今の関連で、弁護士の場合は、疑わしい取引に該当するような取引があったときに弁護士会に報告するというようなことが調査室の資料に書いてあったんですが、そういう形になるのか。また、司法書士の場合も、司法書士会の方に報告するみたいな形はあるのかどうか。ちょっとお伺いしたいと思います。

猪原政府参考人 お答えいたします。

 弁護士等につきましては、取引時確認につきまして、現在、会則等で対応するという法律の仕組みになっております。また、マネーロンダリングの防止について、弁護士会独自に様々な取組をしていただいているというふうに承知しております。

石原(宏)委員 次に、前の質問の方に戻ってしまいますけれども、暗号資産以外の没収対象とは何かということでちょっとお伺いしたいと思います。

 今回の改正で、不動産、動産、金銭債権ではなくても、犯罪収益等が没収可能となります。暗号資産以外に具体的に何があるのかお伺いさせていただきたいと思いますとともに、先ほどの神田先生の質疑の中で、法律上は要するに特定をしなくて、全ての犯罪収益について没収ができるというような法律改正になったという解釈を先ほどの答弁で思ったんですけれども、その解釈でいいのかどうか。二点併せてお聞かせください。

保坂政府参考人 組織的犯罪処罰法におきまして、犯罪収益あるいは犯罪収益に由来する財産などの財産について、現行法では、御指摘のとおり、不動産若しくは動産又は金銭債権という限定がついておるわけですが、それを削りまして、財産であれば没収することができるというふうに改正するものでございます。

 この改正によりまして、新たに没収可能になることが現時点で想定される財産の形態といたしましては、暗号資産でいいますと、例えば振替株式ですとか、あるいは電子マネーといったところが考えられるところでございます。

石原(宏)委員 昨日のレクで、電子マネーも回収できるといって、それはすごいなと思ったんですけれども、ただ、Suicaとか、カードを持っていっちゃうんだったらいいんですけれども、携帯に入っていたらどうするのかななんて、ちょっと思ったりなんかしまして。ただ、余り金額が多くないので、そういう電子マネーみたいなものもこの没収の対象にできるということで、実際にやるとなると結構大変そうだなというような印象を受けました。

 だんだん時間も迫っておりますけれども、次に、外国に所在する暗号資産交換業者に対し、取引時確認等に相当する措置を的確に行うための体制整備をしなければいけないというふうにこの法案はなっておりますけれども、その体制整備というのは、どのように金融庁として確認をするのかどうか、質問をさせていただきたいと思います。

尾崎政府参考人 お答えいたします。

 犯罪収益移転防止法におきましては、今回の改正において、暗号資産交換業者に対して、外国に所在する暗号資産交換業者と暗号資産の移転に関する提携契約を締結する際に、当該相手方業者のマネーロンダリング対策に係る体制整備等の確認をすることを義務づけることとしております。

 具体的な確認の方法としては、提携契約を締結するためのデューデリジェンスにおきまして、暗号資産交換業者が相手方業者から体制整備等の状況について報告を求めるというようなことを想定しているところでございます。

石原(宏)委員 ありがとうございました。

 本当にどんどんどんどん技術が発展して、そのたびに新しい金融商品みたいなものができてきて、それを犯罪に悪用されないように、イタチごっこ的に制度を見直していかなければいけないということで、また、実際にこれを運用していくのはかなり私は現場の方々は大変なんじゃないかなというふうに、すごく実感をしています。

 ただ、そうはいっても、ボーダーレスな社会の中で国際的な犯罪が行われているわけでありますから、それをしっかり取り締まること、そのことによって安定的な世の中というのがつくられていくんじゃないかと思いますので、非常に重要な法案ではないかというふうに思います。

 最後に、谷大臣にお伺いをしたいと思います。

 繰り返しになってしまうところはありますけれども、国際社会は、近年、更にボーダーレス化が強まっております。そして、犯罪も、それに付随し、国際化、高度化をしています。金融、経済の分野において、いち早く高度化、電子化を図られてきただけに、金融犯罪は最新のテクノロジーによって更に巧妙に、悪質になっています。今回の改正により、我々はそのような犯罪に対処するための多くの手段を手にすることとなります。ただ、技術は日進月歩であり、今日有効な対策も、明日は陳腐化する危険をはらんでいるわけであります。

 谷大臣に、最後に、今後の意気込みについてお伺いをいたします。

谷国務大臣 お答えいたします。

 今回御審議をお願いしている法改正は、暗号資産に関するトラベルルールの整備等の最新の技術に対応した制度を設けようとするものであり、このような制度を積極的に活用して、関係省庁が一体となって、悪質な金融犯罪に対処してまいりたいと思います。

 御指摘のとおり、技術の進歩は日進月歩しております。これらのそういう事犯がより悪質、巧妙化することは十分考えられるところであり、最新の技術動向や、それが及ぼす影響等を踏まえ、政府全体として適切に対応してまいりたいと思います。

石原(宏)委員 谷大臣、是非よろしくお願いいたします。実際に実施していくということが非常に重要だと思いますので、是非、各関係省庁とも連携をしながら、しっかりとこの法案に沿って実施をしていただければと思います。

 まだ二分ぐらい時間が余っておりますけれども、青柳理事も許してくださると思いますので、これで私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。